色々な生徒のレッスンをしてきて、そろそろ出会ったこともないような生徒はいないだろうと思っていた。が、甘かった、、。

幼稚園からレッスンに来ていて6年生、いまだに拍子の観念というのが全くない生徒がいる。

リズム譜を課題にして「はい、じゃあ手で叩いてみて」というと、

長そうな音符はなんとなく長くターーー、短そうな音符はタタタタみたいな？

その場で一緒に数えてリズムを叩けば「あー、なるほど！」となる。

理解したかのように見えたから次回同じ問題を出したけど、また綺麗にゼロになっていて、

ターーーーーとタタタタ。

拍子の話、音符の長さの話、色々な話をしたけれど、

四分音符はなんはく？と聞いて「４拍！」と答えたり（あー、名前に４があるから４拍って？？💦）

彼女が自ら拍子を意識して、数えてリズムを再現したことはいまだにない。

学習能力的に問題があるわけではない。

なのになぜ？

何か理由があるのだと思い、ある日質問してみた。

「ねえ、○○ちゃんは何でピアノやってるの？」

すると「習い事だから」と、意味わからない答えが返ってきた。

「じゃあ、学校でも勉強するし、塾にも行ってるでしょ？

なんで勉強するの？」

「頭が良くなるため！」との答え。

「頭が良くなると、何がいいの？」

「いい学校に行かれる」

「いい学校に行かれると何がいいの？」

・　・　・

そんな調子でしつこく聞いてみたところ、最終的には「わからない」という答えが返ってきた。

そのあたりで、その子の問題は学ぶことに対して無意識すぎるということなのかもしれないと思った。聞けば上手くなりたい！こんな曲弾きたい！というのだけど、その想いはそこで止まってる。

だから日々努力しないと、先生の話をよく聞いて練習しないと、とは結びついていない感じ？

どこか、習ってればいつか上手くなるんじゃ？みたいな、ふわふわしたところがある。

そんな生徒に、響くのかはわからないけど、

私が思う「努力する（練習したり勉強したりする）ことの意味を話してみた。

「努力して、実力がつけば選べるようになる。そうなりたいから努力するんだよ。」

勉強だったら、行きたい学校を選べるようになる。

ピアノだったら、弾きたい曲を選べる。

一方、努力しないで何も身につかなかったら

勉強だったら「この学校にしか行かれない」ってなる。

ピアノも「この曲しか無理でしょ」ってなる。

選べないわけですよ。

この話が通じたかもわからないけど、

まさかこの話の出所がリズムが叩けないことだとは思ってもいないだろう。

だから、多分またリズム問題はターーーーーとタタタタ。

ただ、少しでも学ぶということを意識してレッスンを受けてもらいたい。

祈るようにそう思う。

2025.05